海水魚

【ネコマタギ】と呼ばれる魚を考える


画像:WEB魚図鑑より(筆者撮影)

寄せられた情報

タウエガジ  北海道噴火湾(ネコワラと呼ぶ)
タカノハダイ  東京都三宅島、徳島県(ネコマタキと呼ぶ)、鹿児島県
ブダイ(夏)  神奈川県川崎市、静岡県伊豆
メジナ(夏)  静岡県伊豆
ニザダイ  静岡県伊豆
アイゴ  静岡県駿河湾、福岡県、佐賀県
ヒイラギ  静岡県(ネコマタ・ネコゴロシ・ネコナカセとも)、京都府宮津市、兵庫県神戸市、兵庫県淡路市(ネコクワズと呼ぶ)、徳島県(ネコクワズとも)
トビウオ  石川県
ホッケ  岐阜県(物流が整っていなかった時の話)
コロダイ(幼魚)  和歌山県
ウグイ  兵庫県北部・加古川市、広島県、山口県
イワシ(骨)  兵庫県神戸市
ボラ(夏)  兵庫県南西部
オイカワ(婚姻色)  岡山県倉敷市
ボラ  島根県
ムロアジ  島根県
コノシロ  島根県
テンジクダイ  香川県東讃
シイラ  高知県(ネコマタとも)
ネンブツダイ  高知県土佐清水市
ササノハベラ属  愛媛県宇和島市
イスズミ  佐賀県、長崎県
クロダイ(内蔵)  長崎県
ツバクロエイ  長崎県雲仙市
スズメダイ(産卵後)  長崎県雲仙市
ハガツオ  宮崎県北部
ヒラメ(夏)  宮崎県北部

地方名ではないのかも

条件付きのものもありますが、なんと26種類にのぼる魚たちが、「ネコマタギ」あるいはこれに類する名前で呼ばれていることが分かりました。ヒイラギとウグイが少し多いかな~って程度で、ダントツにこの魚というのが特に無かったのは、かなり意外な感じです。

寄せられたコメントを読んでいくうちに、「ネマタタギ」は地方名という名詞ではなく、魚を形容するような言葉なのではないか、と思うようになりました。

「コロダイの幼魚はネコマタギでした😊」:田中圭氏からのコメント。

「私も高知出身ですが母親からクマビキ(シイラ)はねこまたぎだと言われました😥」:松岡 豊氏からのコメント。

「神戸に住んでたときはヒイラギとイワシの骨がネコマタギでした。あと魚と呼べるかは微妙なところですが、安物の竹輪もネコマタギでしたね(笑):Kengo Kitamoto氏からのコメント。

「さかなではありませんが当地新潟県でコシヒカリ以前の新潟米は東京の米屋さんではその不味さに「ねこまたぎ」と読んでいたそうです。当時の県知事が東京の米屋さんを招いて意見をお伺いしたそうです。それから関係者一同奮闘努力精進を重ねて現在があるとのことです😎」:佐藤三良氏からのコメント。

消えゆく「ネコマタギ」

冷蔵・冷凍技術や流通環境が発達する前には「ネコマタギ」と言われていた魚が、今ではその美味しさが知られて人気となっている場合があるようです。

「高知 ネコマタ 熊引き(シイラ) 昔々 冷蔵設備が無かった時代 鮮度が落ちるのが早かったからと聞いてます‼️」「海沿いから中山間 山間部迄有りますよね、昔は冷蔵冷凍設備も悪いのと道路状況も悪く輸送にもかなり時間を要したようなので足の早い魚は、中山間 山間部迄持って行くと著しく鮮度と旨味が落ちたのではないでしょうか⁉️ 子供の頃にはシイラはネコマタと聞かされておりましたが、時折シイラは食べますが旨い魚と思っておりますので😋」:大崎靖夫氏からのコメント。

「猫またぎ… 昔漁師さんから聞いてるお魚ではハガツオ、夏のヒラメですかね。」「でも、ハガツオは昔聞いた話で、今は釣れると美味しいのでめちゃくちゃ嬉しいです。当時は流通の問題とかもあったからかも知れませんね。 ・・・今は流通もしっかりして鮮度も高いお魚が多いので猫またぎは居ないのかも知れませんね。 ₍˄·͈༝·͈˄₎◞ෆ⃛̑̑ෆ⃛」:甲斐 大介氏からのコメント。

「代表では、ホッケじゃないでしょうか? 本州全土で、物流が整っていなかった時の話ですが鮮度の落ちたホッケの臭みはなかなかですからね💦 ちなみに当方は愛知、職場は岐阜の魚屋」「実際に年配の方は今だにホッケを避ける方が多くいらっしゃいます」:吉田 修氏からのコメント。

もう1つの「ネコマタギ」

「ネコもまたいで食べないような魚」という前提でコメントを募集したわけですが、もう1つの意味がありました。神戸でイワシの骨のことを「ネコマタギ」と呼んでいるのも、同様の意味を基にしているのでしょう。

「東京です。魚を綺麗に食べると、猫も食べる所が無いから、ねこまたぎ だね、と大正生まれの母が言ってました。」:金巻 香水子氏からのコメント。

「横浜でも同じ様に使います。「あんたは本当にネコマタギだね!」と、子供の頃、アジの干物などをキレイに骨だけにして食べると、よく言われました。」:船越 寛哲氏からのコメント。

「臭い魚」の集計結果

以前、「あなたにとって臭い魚は何ですか?」というコメント募集をしました。臭いかどうかを判断するのはネコではなく、我々人間ということになります。多くのコメントのなかから、コメ者自身の実体験・感想に基づくものに限り、それを集計してみました。

1位:アイゴ(11)  2位:ボラ(10)  3位:イスズミ(9)

4位:スズキ属(8)  5位:クロダイ・カサゴ・ウグイ属(7)  8位:ヤリヌメリ・ニザダイ科(6)

ネコの場合と内容は異なりますが、突出した存在がいないこと、たくさんの魚名(50種以上)が寄せられたこと、が共通しているように思えます。しかも「海域による」「季節による」「処理の仕方による」「自分としては苦手」というニュアンスのものがかなり多く、特定の魚で臭いとは一概に言えない感じでした(ただし、ヤリヌメリだけは違いました。ホントに臭いらしい。)。

「臭いから食べない」と簡単に切り捨てることは、未利用魚を増やすことにつながります。条件さえ整えば美味しく食せる余地があるわけですから、その違いを楽しんでいければ良いな、なんて思ったりしてます。

コメントしていただいた方々(Facebookにおける登録名そのまま、順不同)
田中圭さま、寺井祐二さま、中村 たくやさま、後藤 将太さま、村上公一さま、村上 勇太さま、大崎靖夫さま、松岡 豊さま、高平康史さま、毛戸勝さま、橋口 保祐さま、伊禮門 卓さま、前田 洋さま、植田 リョウさま、酒田雅彦さま、足立博貴さま、鈴木厚さま、Kazuyuki Kondoさま、甲斐 大介さま、吉田 修さま、小野村 一人さま、三宅弘真さま、倉科 謙二さま、山出 潤一郎さま、Kengo Kitamotoさま、いわもと みえさま、宮井 幸彦さま、新川 和憲さま、佐藤三良さま、野村 卓司さま、森山 達也さま、門家重治さま、藤原 圭さま、坪内茂さま、今井 基文さま、西田 秀之さま、佐藤厚さま、金巻 香水子さま、嶋田 春幸さま、菅原 守雄さま、Bennie Kingさま、織田 猛さま、石橋 健太さま、磯 淳一さま、和田 俊章さま、飯田 久貴さま、阿部 義信さま、小松 鉄平さま、鈴木 珠美さま、彦坂 周宗さま、高橋 一弘さま、Takashi Maedaさま、伊藤 秀明さま、佐藤 弘直さま、松生 世紀さま、藤井 江治さま、佐藤 直樹さま、森山 稔さま、長尾誠さま、Hkawa Kjiさま、末廣 孝一さま、日高 秀一さま、木下潤一さま、ワダ セイヤさま、松永 康裕さま、小島 健一さま、宮川健二さま、姫野宗史さま、西田 忠弘さま、菅長裕之さま、香月信二さま、安富二夫さま、白鳥 健一さま、谷川 太さま、江川 正己さま、小勝負 健さま、原井 辰幸さま、木村 尚道さま、深田吉宜さま、中西 彰さま、Suzuka Tanabeさま、河野徳夫さま、岡本高三郎さま、村上 勇太さま、元和服部さま、甲斐 哲也さま、池田 創さま、安光孝則さま、國谷勝さま、Hiroyuki Hoshiさま、沖田宏之さま、川島 久司さま、小松光広さま、井上 幸彦さま、馬場 亮輔さま、Toshio Fujiwaraさま、川上大地さま、坂口博範さま、大石 容子さま、藤田 竜人さま、大澤風季さま、中谷 茂次さま、柳沢達男さま、榎本 亮さま、田中 一嘉さま、下原 誠明さま、笹川 稔さま、Tom Juさま、宮川清さま、慶昭齋藤さま、高口浩さま、中嶋英樹さま、高月 陽生さま、上床翔太郎さま、Takanori Momoseさま、哲幡野さま、三戒堂 水宝さま、上谷克己さま、岡本 公秀さま、船越 寛哲さま

投稿者 土岐耕司 

原文作成日 2024年3月2日
内容更新日 2024年3月9日

※このページの情報は、Facebookグループ『WEB魚図鑑の部屋』に寄せられたコメントを基にまとめたものです。

WEB魚図鑑 タウエガジ他
https://zukan.com/fish/internal3280

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