海水魚

【ヨロイイタチウオ】その魚名を考える


画像:WEB魚図鑑より(閻魔さん撮影)

寄せられた地方名

今回は、この地方名募集以前に「WEB魚図鑑」で集まっていたものも、一緒にご紹介します。

ヒゲがある「タラ」系
 ヒゲダラ・アカシゲ(関東、長崎県対馬市)、シゲダラ(石川県金沢市)

ヒゲがある「ナマズ」系
 ナマズ(広島県福山市、長崎県対馬市・長崎市)、ギンナマズ(長崎県五島)

ヒゲがある「魚」系
 ヒゲンデ・ヒゲンデー(鹿児島県)、アカヒゲ(別称として)

その他
 ホウカイボウ(愛知県)、メンタイ(広島県、島根県、山口県、愛媛県、福岡県北九州・筑豊)

ヨロイイタチウオの「ヒゲ」

上記の地方名で多かったのは、ヨロイイタチウオの「ヒゲ」に注目した呼び名でした。でも、この「ヒゲ」らしきものは、「眼の後縁下にある腹鰭は糸状に鰓蓋後縁を超えない程度に伸びる2軟条で、一見髭のように見えるが、髭はない。(「WEB魚図鑑」)」とのことです。一応、抑えておきましょう。

謎の「メンタイ」①

今回の地方名募集にあたって、私に強い動機をもたらしたのが、和田金也氏による2024年2月23日のご投稿でした。「メンタイ」と言って想起されるのは「明太子(めんたいこ)」であり、明太子はふつう「スケトウダラの卵」を指します。以下は、和田さんのご投稿およびコメントへのご返信になります。

「広島で人気の「めんたい」という魚。いつもは三枚におろして皮も剥がれてフィレの状態で売られていて、ムニエルやフライで賞味されます。かなりの美味! 不思議なのはこの「めんたい」、標準和名ヨロイイタチウオは、長崎、佐賀、福岡、山口あたりの深い海で底引きで漁獲されるらしいのだが、私の地元福岡では見たことありません。不思議!それに何故「めんたい(博多では「めんたいこ」を「めんたい」といいます。)」?」

「私は元々生まれも育ちも博多の魚が大好きな中年男性ですが、昨年から広島に単身赴任しています。広島にくるまで「めんたい」という呼び名は聞いたことがなく、もちろん食べたこともありませんでした(福岡の中央卸売市場でヨロイイタチウオの丸物は見たことありますが)が、広島市ではかなりメジャーな魚で、フライやムニエル用に三枚におろしたものは、ほぼ毎日売っていて、まわりの人に聞くと、鯛やアジ並みにみんな知っていて、広島名物とか、広島方言とも思っていないみたいです。」

「・・・漁獲されるのは主に長崎で、佐賀、福岡、山口ということで、しかも、底曳き、つまりかなり深海のようです。なので瀬戸内海では穫れない魚ということだと思います。今回私が購入したのは山口産でしたが、広島で売っているのは、ほとんどが長崎産のようです。」

謎の「メンタイ」②

上記の和田さんコメントには、とても興味深い要素が感じられました。

・広島で「メンタイ」として親しまれているヨロイイタチウオは、実は瀬戸内海では漁獲が無いらしい。

・実際の漁獲地は、主に長崎、ほかに佐賀・福岡・山口、ということらしい。

では、主産地とされる長崎県から寄せられたコメントはどうでしょうか?

「対馬ではナマズ、ヒゲダラかな?昔は捨てていた魚です!」「今は市場に出しています。」「でも基本的にこちらではあまり多く採れません」:川崎友和氏からのコメント。

「このさかな 界隈(長崎県雲仙市:筆者加筆)では売って有るのも 海でも見たこと無い魚です。😳」:佐藤厚氏からのコメント。

瀬戸内海沿岸地域にもたらされる「メンタイ(ヨロイイタチウオ)」の産地について、ここでは解決できませんでした。それよりも気になるのは、その地域で漁獲されない魚に対して独自の地方名が広く普及しているということ。こんな魚例って、他にあるのでしょうか?

その他の情報

「関東だと『ヒゲダラ』で、昔は高級魚として流通してました 近年では、あまり見掛けないかも? 「昆布〆」にして水分飛ばすと美味いです♪」:田中 一嘉氏からのコメント。

「・・・私が魚をやり始めた40年前、 瀬戸内ではとれない魚など九州や日本海から、市場で言う「送り」と言う名目で 発泡スチロールや木箱に入って、 ぎゅうぎゅう詰めに沢山入って割安で市場に入荷してました、安い白身のお刺身材料としてよく瀬戸内ではどのスーパーも 販売してました、また、柔らかい魚なんで 新人の魚スタッフには、三枚下ろしの 練習には安くて量ができるのでもってこい(笑)、私もよくやりました お造りもいいですがフライに最適な魚です 今は漁獲量も少なくなったのか、こちらにはあまり流通しなくなり、懐かしい 魚になりました 大きく鮮度のいいやつに限りますが 星4です 今は高級魚ですね」:池藤宏治氏からのコメント。



「メンタイ」のお造り(池藤宏治さん提供)

「私がいく市場ではちょくちょく見ますよ。三河湾でとれるみたいです🐟」:鈴木一真氏からのコメント。

「関東では赤シゲと呼ばれてます1キロ2000円位で売れてますよ!」:鈴木幸也氏からのコメント。

コメントしていただいた方々(Facebookにおける登録名そのまま、順不同)
田中圭さま、田中 一嘉さま、池藤宏治さま、佐藤厚さま、桑野 顕さま、和田金也さま、宍道 弘敏さま、寺井祐二さま、鈴木一真さま、岡嶋 隆司さま、鈴木幸也さま、川崎友和さま


投稿者 土岐耕司 

原文作成日 2025年1月9日

※このページの情報は、Facebookグループ『WEB魚図鑑の部屋』に寄せられたコメントを基にまとめたものです。

WEB魚図鑑 ヨロイイタチウオ
https://zukan.com/fish/internal421

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