画像:WEB魚図鑑より(海猿さん撮影)
標準和名「オコゼ」という魚はいない
まず、これが1つのポイントになるかと思います。こんかいの対象となった「オニオコゼ」はオニオコゼ科に属しますが、「~オコゼ」という科は他に、イボオコゼ科・ミシマオコゼ科・ハオコゼ科があります。分類学上これらの科は近いものとは思われますが、地方名からの観点でも並列した存在のようです。面白いのは、他科であるオニカサゴなんかとも対比された呼び名があり、それらの魚がわりと豊富に獲れる地域でそれらが認められるという点でしょう。
「オコゼ」の語源
ネット検索してみました。
「名前の由来は諸説ありますが、「オコ」は「愚かなこと」「形が怪奇で容貌が醜いもの」を意味し、「ゼ」は魚名の語尾で「醜い魚」を指す説が一般的です。オコゼは古来より、豊漁を祈念する際、山の神への供え物とされました。山の神は「醜女(しこめ)」だったため、自分より醜い魚をみて、我が身をなぐさめたといわれています。」 https://www.kaiseiken.or.jp/umimame/umimame79.html (2023/7/23閲覧)
「オコゼの語源・名前の由来について、古名を「おこじ」といい、「おこ」は醜悪なさま、愚かなさまを意味する。」https://yuraika.com/okoze/ (2023/7/23閲覧)
「まず、オコは痴(愚かという意)と同源でオコゼの容姿がひどいからということから来ているという説。 次に、オコリ(瘧、怒り)のオコと関係があり怒り顔をしているようなのでついてという説もある。」https://fishsearch.net/%E3%82%AA%E3%82%B3%E3%82%BC%E3%81%AE%E6%BC%A2%E5%AD%97%E9%B0%A7/ (2023/7/23閲覧)
構成としては「オコ」+「ゼ」であることは、ほぼ確実そうです。「オコ」は醜いという意味であるのが有力そうですので、「~オコゼ」と呼ばれる4科の魚たちは、可哀そうではありますが「醜い魚」として括られているようですね。
魚名の語尾
上の検索結果のなかに「魚名の語尾」というのが出てきました。オコゼの「ゼ」は魚であること以外に大した意味を持たないようです(古名がオコジだから元々は「ジ」がそれに当たるのかも)。このパターン、他にもけっこうあるんですよね。
① ウオ系
イオ・イヨ・イユ・ユ・ユーなどと変化
② ナ
イワナ・メジナ・キビナゴなど
③ コ(ゴ)
アマゴ・カサゴなど
④ キ
イサキ
⑤ ジ(ゼ)
ヒメジ・オコゼ
寄せられた地方名
オニオコゼと呼んでいることが確認された地域
三重県南伊勢町
オコゼ
富山県魚津市、石川県能登町、京都府丹後半島、和歌山県、兵庫県播磨値地方、香川県
オゴゼ
長崎県壱岐市勝本・平戸市度島町(オゴジェとも)
オコシ
神奈川県横須賀市
その他
ドロオコゼ(大阪府泉南)、クロオコゼ(長崎県雲仙市)、アファ(鹿児島県喜界島)、アハ・アーハ(鹿児島県徳之島)
他魚との区別・不区別
寄せていただいたコメントの多くに、同科・他科の魚との区別名が含まれていたり、反対に不区別があったりしたのが、なんとなく興味深かったです。
「京都丹後半島では、コチラを普通に「オコゼ」と呼び、ハオコゼは「ケラ」、ミシマは「ギヌ」と呼んで区別しています😊」:間所 幸一氏からのコメント。
「長崎県壱岐市勝本漁港 おごぜ です。 オニカサゴ は 瀬おごぜ」:坂口博範氏からのコメント。
「雲仙市です 界隈の年寄りの方はクロオコゼとか とか呼んでました。 ちなみにオニカサゴは アラカブオコゼ。 ミノカサゴはハナオコゼ ハオコゼはただ、オコゼとか呼んでたような ヒメオコゼはガタオコゼです。」:佐藤厚氏からのコメント。
「喜界島はアファ オニダルマオコゼもアファ」:町田 賀法氏からのコメント。
「徳之島です。オニオコゼ・オニダルマオコゼオコゼなど、オコゼの仲間はすべて引っくるめて「アハ」「アーハ」だそうです。教えてくれた方は70台位ですが、50才前の息子は知りませんでした。」:Kengo Kitamoto氏からのコメント。
コメントしていただいた方々(Facebookにおける登録名そのまま、順不同)
佐藤厚さま、嶋田 春幸さま、福畑 敏光さま、松永 康裕さま、湯本 正勝さま、辻岡 拓郎さま、高平康史さま、間所 幸一さま、町田 賀法さま、坂口博範さま、Kengo Kitamotoさま、田中圭さま、稲村修さま、Makoto Urataさま、井料隼人さま 投稿者 土岐耕司 原文作成日 2023年7月23日 ※このページの情報は、Facebookグループ『WEB魚図鑑の部屋』に寄せられたコメントを基にまとめたものです。 WEB魚図鑑 オニオコゼ https://zukan.com/fish/internal215