海水魚

【ゴンズイ】その魚名を考える


画像:WEB魚図鑑より(西野敬さん撮影)

ゴンズイの語源

いつものように、まずは標準和名となった「ゴンズイ」の語源を、ネットで検索してみました。

「『ゴンズイ』という名前の由来にはいくつかの説が考えられていますが、有力なのがその姿を元にしているというものです。神話の中に地獄に居るという『牛頭(ごず)』と言う名の鬼が 出てくるのですが、昔の人はゴ ンズイの頭の形が牛のものに似ていると感じたらしくそこから『牛頭魚(ごずいお)』という名をつけたといわれています。これが変化して現在 の『ゴンズイ』に変化したといわれていますが、毒をもったマイナスのイメージが鬼とダブったのかもしれません。また別の説では、中部地方でくずもののことを『ゴズ』や『ゴンズリ』と呼んでおり、『屑な魚』という意味の『ゴンズイ』という名 前をつけたとも言われています。」
https://animals.main.jp/fishes/stripedcatfish.html (2023/7/11閲覧)

「一般的には語源は不明とされているが一説には地獄の鬼の牛頭(ゴズ)に似るので牛頭魚(ごずいお)からと云われている。要するに牛の頭に似ているからと。しかしながらよく見れば可愛い顔でとても牛の頭を連想出来ない。 またゴミを意味する中部地方の方言「ゴズ・ゴンズリ」から「屑な魚」という意味でゴンズイとなった説もある。…地方の言葉が全国区の魚名になるのか少し疑問が残る。」
https://gogen-fishing.amebaownd.com/posts/32440591/ (2023/7/11閲覧)

どうやら「牛頭(ごず)」に由来する説と、中部の「ゴズ・ゴンズリ」に由来する説があるようです。私からすれば、どちらも説得力に欠ける感じがします。

植物の「ゴンズイ」の語源

このリサーチのなかで、むしろ興味深かったのは、植物の「ゴンズイ」というのがあること、そしてその語源が魚の「ゴンズイ」にあることでした。

「権萃 (ごんずい)  材としては 用途がないところから、 同様に役に立たない魚とされる、 「権瑞(ごんずい)」に なぞらえた。」
https://www.hana300.com/gonzui.html (2023/7/11閲覧)

「ゴンズイ(権萃)の名前は、釈迦が生まれ変わるとき、5つの衰兆→五衰 (ごんずい)を現したことにかかわるという説や、魚のゴンズイのように役に立たないことから、といった説がある」
https://www.ootk.net/cgi/shikihtml/shiki_413.htm (2023/7/11閲覧)

魚の「ゴンズイ」は「役に立たない魚」であることが前提のようです。これは果たしてその通りなのでしょうか?

寄せられた地方名

ゴンズイと呼んでいることが確認された地域
 和歌山県和歌山市、香川県、高知県、福岡県

鳴き声系?
ウグ(和歌山県紀北地域、愛媛県宇和島市)、ググ(徳島県南部、高知県中央部)、ギギ(高知県高知市)、ギンギン(兵庫県南あわじ市)、ギンギョ(長崎県平戸市度島町)、ギュウギュ(長崎県長崎市・雲仙市)、ギュギュ(熊本県水俣市、大分県、宮崎県)、ギュッギュ(熊本県水俣市)

毒魚系?
ウビアゲ(大分県臼杵市)、オビヤケ(宮崎県日向市細島)

※「聞いた話ですが「刺されると指が焼けるように痛い」という説はあります。」:伊藤真次氏からのコメント。

その他
エドミズゴンズイ(静岡県伊豆)、ゴズ(三重県南伊勢町)、ズルべ(三重県尾鷲市九鬼町)、ウルベ(三重県紀北町、和歌山県南紀州)、ギクメ(長崎県島原市千々石)、クモ(鹿児島県喜界島)

※8本あるヒゲが「蜘蛛」の足を思わせたか?

鳴き声系魚を比較してみた

今回の地方名募集に際しては、「ヒゲがある、群れて玉になる、毒がある。 なかなか個性的な魚ですので、素敵な呼び名があるものと推察いたします。」と言っていたのですが、実際に集まった呼び名は「鳴き声を発する」という特徴に起因するものが多かったのが、意外と言えば意外でした。これと同じように「鳴き声」に起因する呼び名が多かったのは、実は「ヒイラギ」でした。これとの区別・不区別があるのかどうか、少し比較してみました。

ヒイラギ〉
グーグー(愛媛県・大分県北部)、ケッケ・ゲッケ(岡山県)、ギギ(岡山県・広島県)・ガガ(福岡県北九州)

ゴンズイ
ウグ(和歌山県紀北地域、愛媛県宇和島市)、ググ(徳島県南部、高知県中央部)、ギギ(高知県高知市)、ギンギン(兵庫県南あわじ市)、ギンギョ(長崎県平戸市度島町)、ギュウギュ(長崎県長崎市・雲仙市)、ギュギュ(熊本県水俣市、大分県、宮崎県)、ギュッギュ(熊本県水俣市)

ググとグーグー、ギギとギギなんかは重なりますが、地域は重なりません。どちらの魚も鳴き声系で呼んでいる地域は愛媛県ですが、ヒイラギは「グーグー」で、ゴンズイは「ウグ」と呼び分けているのかもしれません。魚が発する音がどう聞こえるのかは、地域によって異なっていると考えてみることも、地方名を理解するうえでの重要な要素なのかも。

ゴンズイの食味評価

「役に立たない魚」などと酷評されているゴンズイ。しかし、皆さんからのコメントを読む限り、けっこう美味しい魚なのだろうと思いました。

「冬場のものは味噌煮にして珍重します。特に頭部の身が美味しいです😊」:田中圭氏からのコメント。

「和歌山市はゴンズイです。 昔、釣り場でアナゴの蒲焼き大会したんですが、一緒にゴンズイも蒲焼きにしたらアナゴより美味かったです。」:深田吉宜氏からのコメント。

「佐賀北西部の漁師さん曰く、内臓も出さずに味噌汁に入れるのが1番美味いとのこと。 まとめて入手できないので試せていないのですが…。 煮干しにすると独特で強烈な臭いを発しますが、だしの一部に加えると得も言われぬ深みが出ます。」:前田 洋氏からのコメント。

「雲仙市です 地域はギュウギュです となり町はギクメです 丸炊きにソウメン焚いた煮麺に 薄口醤油さしたのが ギュウギュまたはギクメ素麺 地域の冬の料理です。」「とても強いダシがでます。 (カサゴ、キジハタ、マダイよりも強い感じがします。) 11月から2月梅の花が咲く辺りまでが旬です ゴンズイの匂いが薄い 脂のノリがちがいます。 界隈ととなり町は 海底から湧き水が湧きます そこは真夏、厳冬季でも水温が安定してゴンズイがすごしやすいのか 良くふとります。 この2町挟んだ両側は 海底湧水がありません 同時にゴンズイ素麺の文化がありません。😅」:佐藤厚氏からのコメント。

「長崎市です。・・・昔、下宿した新大工町のばあさんは「ギュウギュはヒレを落として味噌汁にすっとうまか。だから絶対に持って帰ってこんね」と言うのでキスゴ釣りの外道を手間かけてたくさん持ち帰りました。そのまんま「味噌おつゆ」と呼ぶ味噌汁になり、確かに美味しかったです。ただ、福江島、中通島ら五島出身の下宿生からは「せっかく長崎市内に出てきたとに、これをまた食いとうなか」と不興をかいました。」:阿部正人氏からのコメント。

「ゴンズイは「天婦羅・フライ」や「蒲焼」で食べるのが好きです♪ また、煮付けてから寿司にするのも美味しかったです」 写真:【ゴンズイのフライ】【有馬山椒煮ゴンズイの握り寿司】【煮ゴンズイの棒寿司】 「また、「ゴンズイの卵」が『イクラ』っぽいらしいので、塩漬けで試してみたいです」:田中 一嘉氏からのコメント。

コメントしていただいた方々(Facebookにおける登録名そのまま、順不同)
田中圭さま、伊藤真次さま、佐藤厚さま、松岡 豊さま、鈴木 仁司さま、深田吉宜さま、髙田 一人さま、高平康史さま、竹内 信彦さま、伊藤 哲二さま、Tamejima Satosiさま、小西 英二さま、前田 洋さま、福畑 敏光さま、阿部正人さま、門家重治さま、大澤風季さま、嶋田 春幸さま、中尾 史仁さま、村井 稔さま、町田 賀法さま、田中 一嘉さま


投稿者 土岐耕司 

原文作成日 2023年7月13日

※このページの情報は、Facebookグループ『WEB魚図鑑の部屋』に寄せられたコメントを基にまとめたものです。

WEB魚図鑑 ゴンズイ
https://zukan.com/fish/internal337

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