画像:WEB魚図鑑より(KAZZさん撮影)
「ダツ」の語源
ネットでカンニングしてみたところ、一部には的当ての「ダーツ」とするものも見られましたが、「駄簀(だす)」に似ているというところに、その語源があるようです。
「東京、江ノ島での呼び名。大きく口の開いた米の藁(わら)や葦で編んだ袋を「駄簀(だす)」という。「駄簀」は叺(かます)ともいい、塩や石炭などを入れるためのものだが、この大きな口の開いた袋に似て、口が大きいため。」
https://www.zukan-bouz.com/syu/%E3%83%80%E3%83%84 (2023/2/27閲覧)
今回得られた地方名のなかに「ダス」というものがありましたが、実はこちらの方が元の形を保っているようです。ただし、肝心の「駄簀(だす)」がどんな袋なのかは分かりませんでした。
寄せられた地方名
ダツと呼ばれていることが確認された地域
三重県南伊勢町、香川県、愛媛県宇和島市・松山市、熊本県水俣市、鹿児島県徳之島
ダス
高知県土佐清水市、愛媛県東部
ダース
鹿児島県屋久島(小さいのは「そうめんダース」、大きいのは「サンガン」)
その他
ナグリ(京都府北部)、ダイガンジ(福岡県)、ナガサビ(長崎県平戸市度島町)、ナガタン・フナバル(長崎県雲仙市)、ナガノー(鹿児島県喜界島)、シジ(鹿児島県奄美)、シジャー(沖縄県)、スズ・スズガマ(沖縄県宮古島)
ダッチャンス(GTアングラーの呼び名※)
鶴針(台湾名)、はんーあ(台湾方言)
※「一部のアングラー間ですが、、 ルアーの着水音やアクションに反応するダツが見えると、そのダツにGTが着いてる場合があり、ヒットチャンスがある=ダッチャンスって感じです。」:宮城 大輔氏からのコメント。
「ダス」と「ダツ」
カンニングした前記リンクの文脈からすると、ダツは「東京、江ノ島での呼び名」であり、その語源は「ダス」であるということになります。標準和名に関東の呼び名が採用されたことには頷けますが、元の「ダス」が色濃く残っているのは高知県西部~愛媛県東部のようです。今回はコメント自体が少なかったので何とも言えませんが、関西では「ダス」が主流だったのかもしれません。
なのに、コメント募集の際にはそんなことを1ミリも思っていなかった私は、コメントを寄せてくれた浅利主税さんに、こんな失礼な(ダツに対してですが)リコメントをしてしまいました。
「浅利主税 さま とっても勉強になりそうなことを仰っているように思いますが、面白すぎて入ってきませんだす。」
奄美以南では
シジ(鹿児島県奄美)、シジャー(沖縄県)、スズ・スズガマ(沖縄県宮古島)という、一系の呼び名があり、今のところトカラ列島以北との共通点がありません(コメントが集まらなかっただけかもしれませんが)。奄美以南での地方名は、九州と共通点が見られるもの(例:マンビカー(シイラ)・チン(クロダイ)・クサバー(ベラ類)など)と、完全に異なるもの(例:ネバリ・ミーバイ・ニバラ(ハタ類)・イラブチ(ブダイ類)・サバ(サメ類)など)とに分類できそうですが、ダツについては後者のようです。これまで集まったデータを再整理して、この辺の事情について改めて妄想してみたいと思っています。
コメントしていただいた方々(Facebookにおける登録名そのまま、順不同)
新垣俊さま、宮城 大輔さま、日高 秀一さま、佐藤厚さま、Cheng Yu Changさま、大澤 建さま、嶋田 春幸さま、高平康史さま、福畑 敏光さま、阿波島賢充さま、上田 康喜さま、浅利主税さま、大澤風季さま、町田 賀法さま、藤川 裕樹さま、原野 陽一さま、Kengo Kitamotoさま、門家重治さま 投稿者 土岐耕司 原文作成日 2023年2月27日 ※このページの情報は、Facebookグループ『WEB魚図鑑の部屋』に寄せられたコメントを基にまとめたものです。 WEB魚図鑑 ダツ https://zukan.com/fish/internal587