海水魚

【ササノハベラ】その魚名を考える


画像:WEB魚図鑑より(もぶらさん撮影)

はじめに

今回コメントを寄せていただいた地域は、東限は三重県、南限は熊本となりました。ササノハベラから分けられたホシササノハベラとアカササノハベラで、その分布はかなり異なるようですが、全体としては青森県~台湾とかなり広い分布を示しています。

ササノハベラが分布しているはずの青森県出身の私は、故郷ではササノハベラを釣ったことがありませんので、分布の縁辺部では生息数がごく少ない可能性はあります。現在の居住地である沖縄県でもササノハベラを釣ったことはありませんが、ベラ科が繁栄している南西諸島において独自の地方名が寄せられなかったということは、当地においても生息数は少なく、人々の生活にそれほど身近ではない魚なのかもしれません。

赴任生活の長かった長崎県においては、ササノハベラは死ぬほど釣れました。今回のコメント30件中9件が長崎県からのものであることが、そのことを物語っているかもしれません。しかし、長崎県内の店頭でササノハベラを販売しているシーンは一度も目にしたことがありませんので、当地においては商業上「未利用魚」あるいは「非利用魚」の扱いなのだと思います。他地域からのコメントにおいても、ベラ科の中では珍重・区別される「キュウセン」「コブダイ」を除くベラ科の魚は、ほぼほぼ一緒くたに扱われている感触を受けました。

ササノハベラがこれほど身近に感じられる地域におけるこのような扱いから、食用としては不向きな魚であるという印象はこれまで拭えませんでしたが、食べ方によっては美味い魚であることに確信を持ちつつあります。将来の食資源に関わる重要な要素だとも思いましたので、本文後半では食味に関するコメントを記載させていただきました。

寄せられた地方名

イソベラ(多くの場合キュウセンとは区別している)
大阪府、兵庫県神戸市・明石市、岡山県、香川県、高知県、愛媛県

ベラ(多くの場合キュウセンとは区別している)
高知県、愛媛県宇和島市、長崎県雲仙市、熊本県水俣市

クサビ
福岡県、長崎県(「クサブ」とも)、熊本県天草

その他
コモジロ(三重県南伊勢町)、ゴマンリョウ(和歌山県串本町)、モギタネ(高知県土佐清水市足摺岬)、ムギタネ(高知県宿毛市栄喜地区)、ギザミ(愛媛県宇和島市、ベラ類の総称)、ギザメ(大分県、ベラ類の総称)、ヒコデ(大分県佐賀関)

美味しく食するために

「香川県 イソベラと呼んでいます 私は、煮付けにして食べています 良く脂の、のった個体は 意外に美味しいく思います。」:高平康史氏からのコメント。

「高知県土佐清水市足摺岬地方では、・・・大分県の方の投稿にもありましたが、炙った身を味噌と食べるとけっこういけます。炙って身をほぐし、味噌に砂糖を加え、刻んだ青ジソなどを入れ混ぜます。それを熱々のご飯に乗せて食べるとかなり旨い!他の魚ニシキベラやオヤビッチャなど、小物でよくやってました。」:浅利主税氏からのコメント。

「たぶん長崎のどこかだったかと思いますが、クサビの背越しが正月や祭りの定番になっていたところがあったように思います。簡単に検索してみて、よくわかりませんでしたが。 私は煮付けで食べていました。キュウセンなら大きいのは刺身、そこそこのやつは塩焼きですが、ササノハベラはなぜか決まって煮付け。「5段階評価で3」といったところなのですが、それはそれで味わいがあって、時々、思い出して食べたくなることがあります。」:山出 潤一郎氏からのコメント。

「長崎県平戸市度島町、・・・主に背切りにして食べます。醤油や味噌で‥」:福畑 敏光氏からのコメント。

「長崎県北(佐世保~平戸~壱岐)は「クサビ」です。磯でも波止でも岩がある所どこでも釣れます。旬は夏です。腹を出して鱗をつけたまま焼くと皮がきれいに剥げて脂ののった白身が出ます。生姜醤油で食べると爽やかで夏を感じます。もう一つ美味しいのは刺身です。皮がぬるぬるして引きにくいけど、釣り物は身がこりこりムチムチで甘みもあって絶品です。なので、大きいのは持ち帰ります。」:川畑敏則氏からのコメント。

「大分県の佐賀関です・・・大きいものは刺身 普通サイズは塩焼き 焼いたら身だけとり味噌をいれ出し汁 ネギと混ぜ熱々の御飯に かけて食べます」:姫野宗史氏からのコメント。

コメントしていただいた方々(Facebookにおける登録名そのまま、順不同)
竹馬 猛さま、河邉 新一さま、森山 達也さま、橋本 匠さま、野村 卓司さま、末廣 孝一さま、福畑 敏光さま、姫野宗史さま、阪本 秀樹さま、江口 侑希さま、大澤風季さま、高平康史さま、蔵本正人さま、嶋田 春幸さま、浅利主税さま、栄一郎相良さま、藤川 裕樹さま、
川畑敏則さま、刈谷彰宏さま、門家重治さま、安田 憲弘さま、太田 政伸さま、前田雅通さま、山田重行さま、川崎友和さま、坂口博範さま

投稿者 土岐耕司

原文作成日 2022年9月18日
※このページの情報は、Facebookグループ『WEB魚図鑑の部屋』に寄せられたコメントを基にまとめたものです。

WEB魚図鑑 ササノハベラ
https://zukan.com/fish/leaf84634

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