画像:WEB魚図鑑より(ユジダルさん撮影)
寄せられた地方名
アマダイと呼んでいることが確認された地域
東京都、三重県南伊勢町、長崎県、熊本県水俣市、宮崎県
グジ
滋賀県、京都府、大阪府
グシ
和歌山県
オキツダイ
静岡県静岡市清水区
ビタ
高知県中土佐町
コズナ
愛媛県
特にシロアマダイについて
シラカワ(静岡県焼津市、和歌山県)、シロ(高知県中土佐町)、シロアマ・シロダイ(熊本県水俣市)
特にハナアマダイについて
アマミー(沖縄県)
なぜ「アマダイ」?
「甘鯛」の字が当てられることが多いため、食べたことが無くても、ものすごく美味しいイメージをもってしまう魚ですね。ネットで調べてみました。
「アマダイは「甘みが身上」と言われる魚で、漢字でも「甘鯛」と表記するとおり、「甘みのある魚」が語源である。 「鯛」と付くがタイ科ではなくアマダイ科に属する魚なので、「鯛よりも甘みのある魚」と解釈した方が良いかもしれない。 アマダイの語源には、ほっかぶりした尼のように見えることから、「尼鯛」が転じて「甘鯛」になったとする説がある。 しかし、一般的にアマダイはアカアマダイを指すため、容姿から考えるのであれば色も考慮し、頬っ被りは赤色でなくてはおかしい。 この魚を見て、尼さんが赤色の頬っ被りをした姿を想像出来るか疑問である。」
https://gogen-yurai.jp/amadai/ (20220625閲覧)
「食すると「甘み」があるからという説、横顔が頬被りの「尼さん」に似ているからという説がある。徳川家康が、甘鯛のあまりにものおいしさに感動したという話が『甲子余話』でみられる。」
https://etymology-encyclopedia.com/amadai/ (20220625閲覧)
「甘くて美味しい」説と「尼さんに似ている」説の戦いとなっています。前者の場合、食味評価がダイレクトに命名の要素となっていますが、植物では多いものの、魚類ではけっこう珍しいかも知れません。可能性があるものに「シブダイ(フエダイの地方名)」がありますが、こちらは食べたら「渋い」という説が明確にある訳でもなさそうですし、「シブ(渋)」は色調のことを指すこともあります。「アマダイ=甘鯛」説は、少なくとも「理屈上は」弱いことになります。
では、「尼さんに似ている」説はどうでしょうか? たしかにアマダイって、顔的には個性的ですよね。だからと言って、イコール尼さんにはならない気もします。数あるネーミング候補の中から選んだにしては、この説もまた何だか弱い気がします。
味音痴の私は、アマダイを食べて特段「甘い」と感じたことはありませんが、「甘鯛」という表記が定着していることからしても、「甘くて美味しい」説に軍配を挙げておきたいと思います。
「グジ」考
「ぐじの名の由来は、「身が柔らかく、ぐじぐじしているから」「釣り上げるときに、ぐじぐじ鳴くから」などと、諸説はいくつもありますが、屈折した頭で屈頭(ぐず)から、“ぐじ”に変わっていったというのが、説得力がありそうです。」
https://www.heihachi.co.jp/menu-02a.php#:~:text=%E3%81%90%E3%81%98%E3%81%AE%E5%90%8D%E3%81%AE%E7%94%B1%E6%9D%A5%E3%81%AF,%E3%81%84%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8C%E6%B0%B4%E6%B7%B1100m%E3%80%82 (20220701閲覧)
「『グジ』とは若狭湾で獲れる『甘鯛(アマダイ)』のことを言います。特に、福井、京都、大阪などで『アマダイ』のことを『グジ』と呼んでいて、京都では昔から高級魚として知られてます。 この『グジ』という名前の由来は、『アマダイ』の角ばった頭の形から“屈頭魚(クヅナ)”と呼ばれ、これが訛って“クヅナ…グヅナ…グヅ…グジ”となったようです。」 (20220701閲覧)
https://ippin-gourmet.com/foods/1860
アマダイをそれほど珍重しない地域であればまだしも、高級魚である関西圏の「グジ」が、「ぐじぐじ」という擬音語・擬態語に由来しているとはあまり思えません。こうなってくると「屈頭(くず)」説が有力のようです。しかし和歌山や高知では「ぐし」とも呼ばれていて、「クズ→グズ→グジ→グシ」という変化を辿ることになります。あり得なくはないのでしょうが、何だかまわりくどい気も。
「和歌山は濁らずグシですかね。アカグシ、シログシ、キグシですね。」:田中圭氏からのコメント。
「アカアマダイ アカグシ片島(古語)。」:Takeshi Katagiri氏添付の『高知の魚名集』より。
今回、関西圏の方々から寄せていただいた地方名はほぼ「グジ」であり、「グヂ」というのはありませんでした。アマダイ(グジ)にもニベ系(グチ)にもあまり馴染みのなかった私にとって、この両者は混同しまくっていますが、「し」に濁点というところははっきりしているのだと思われ、そうなると和歌山・高知の「グシ」が何かのヒントを孕んでいるのではないかとも考えてしまいます。
「大阪とか京都ですが、ぐじと言ってます。」:野村 卓司氏からのコメント。
「京都にいた時の名残で、ぐじって言っちゃいます。。。」:Masahiro Inoue氏からのコメント。
「京都、大阪、滋賀県では、ぐじっていわれてましたね」:谷口裕治氏からのコメント。
「大阪はグジですかねぇ?」:窪田 太氏からのコメント。
「大阪です。 標準和名で売られていることもありますが多くは「ぐじ」です。 表記ゆれなのか「ぐぢ」も見ます。」:下原 誠明氏からのコメント。
「京都では、北部・南部ともにグジです。」:間所 幸一氏からのコメント。
高知のビタ系
前掲した『高知の魚名集』から抜粋しておきます。
アカアマダイ
アカグシ 片島(古語)。
アカビタ 片島・下の加江・田の浦・上川ロ・興津・上の加江・久礼・甲浦゜
ビタ 片島・下川ロ・下の加江・伊田・須崎・宇佐・浦戸・甲浦。その他各地。
アカペタ 加領郷。
ペタ 加領郷。
アカビッタ 上の加江。
イヤビッタ 上の加江。(二0センチ級)。小型魚は安価のため、「嫌(な)ビタ」の意。
ビッタレ 鵜来島・藻津・片島・内外の浦・小筑紫。
ベッタリ 田野。
アマダイ 赤岡・手結。
ゲンサク 上の捕江。(二~三キロ級)。
コメントしていただいた方々(Facebookにおける登録名そのまま、順不同)
又吉勲さま、野村 卓司さま、田中圭さま、白石 俊之さま、仲澤 伸泰さま、日高 秀一さま、Masahiro Inoueさま、谷口裕治さま、嶋田 春幸さま、窪田 太さま、Takeshi Katagiriさま、門家重治さま、大澤風季さま、下原 誠明さま、Makoto Sakatumeさま、山下芳文さま、山梨 誠彦さま、田中 一嘉さま 投稿者 土岐耕司 原文作成日 2022年7月3日 内容更新日 2024年1月8日 ※このページの情報は、Facebookグループ『WEB魚図鑑の部屋』に寄せられたコメントを基にまとめたものです。 WEB魚図鑑 アカアマダイ https://zukan.com/fish/internal115