画像:WEB魚図鑑より(tkdさん撮影)
やはり出世名が多い
予想はしておりましたが、コメント者23名のうち20名の方が、出世名パターンを寄せていただきました。実にさまざまな呼び方やパターンがみられましたが、最終名が「ブリ」にならないのは、わずか2パターンに留まりました。いかに「ブリ」という名称が浸透しているかを、今更ながら痛感したところです。
寄せられた地方名
出世名として
青森県 フクラゲ→ワラサ?→アオ
岩手県宮古市 ショッコ→ニサイ→ブリ
岩手県釜石市 ショッコ→ワラサ→ブリ
岩手県大船渡市 ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ
東京都 モジャコ→ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ
神奈川県湘南 モジャコ→ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ
静岡県 ワカナゴ→イナダ→ワラサ→ブリ
石川県 コゾクラ→フクラギ→ガンド→ブリ
三重県南伊勢町 アブゴ→ワカナ→ツバス→ハマチ→ワラサ→ブリ
和歌山県 モジャコ→ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ
兵庫県神戸市 ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ
島根県東部 ツバス→ワカナ→ハマチ→マルゴ→ブリ
島根県西部 ツバス→ワカナ→ハマチ→メジ・メジロ→ブリ
ショウジンゴ→ワカナ→メジ・メジロ→ブリ※
徳島県南部 モジャコ→ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ
高知県高知市 モジャコーワカナーハマチーメジローブリ
高知県西部 モジャコ→ヤズ→ハマチ→ブリ
愛媛県宇和島市 モジャコ→ヤズ→ハマチ→ブリ
愛媛県松山市 ワカナ→ヤズ→ハマチ→ブリ
愛媛県今治市 チャボ→ヤズ→ハマチ→ブリ
長崎県平戸市度島町 ヤズゴ→ヤズゴブトリ→ヤズ→ブリ
長崎県雲仙市 モジャコ→ムグボ→ヤズ→ハマチ→ブリ
熊本県水俣市 モジャコ→ブリ→ヤズ
大分県 ヤズ→シントク→ブリ
鹿児島県長島町 モジャコ→ハマチ→ブリ
その他
オオイオ(大分県、大型のブリ)、アオ(宮城県、20〜30cm程度)、ハイカラ(徳島県南部、小さなものの総称)
※「島根県西部の漁業関係者です。ぶりは小型からショウジンゴ→ワカナ→メジまたはメジロ→ブリです。ツバスやハマチは元から地元にあった呼び名ではなくて魚市場での出荷用の呼び名だと思います。」:佐々木 隆志氏からのコメント。
気づいたこと
まったく同じパターンを示した地域は2例ありました。1つめは和歌山県と徳島県南部、2つめは高知県西部と愛媛県宇和島市です。いずれも同じ海域を共有しているといって良いでしょう。
モジャコという呼び方は、東京~鹿児島と広い範囲で使われていますが、例外なく最小サイズに対しての呼び名となっていました。
最終形の呼び名がブリにならないのは、青森県の「アオ」と水俣市の「ヤズ」の2例でした。水俣市の場合、ブリ→ヤズという珍しいパターンが認められました。
出世の地域性
多く出てきた出世呼び名について、表を作ってみました。ざっくりとですが、上から下に向かって北→南、左から右に向かってサイズが大きくなります。
こうしてみると、東日本に偏るのが「ワカシ」「イナダ」「ワラサ」、西日本に偏るのが「モジャコ」「ツバス」「ワカナ」「ヤズ」「ハマチ」「メジロ」、というのが分かりますね。また、西日本のなかでも、「ツバス」「ワカナ」「メジロ」の3つに対して、「ヤズ」が単体で住み分けされているようにも見えます。
※静岡県では、「ワカナ」ではなく「ワカナゴ」。
興味深いコメント
「岩手県では魚市場ごとに呼び名が異なるそうです。」:田辺 聡子氏からのコメント。
「屋久島では稀に回遊して来ますが漁はしませんし港で釣れても虫がいるから食べないので馴染みが無く特段の地方名は無くブリです、なので出世名もありません。」:日高 秀一氏からのコメント。
「徳之島ではたぶん生息しておらず、食品加工された流通魚としてたまに見るくらいなので「ブリ」のみですね。」:Kengo Kitamoto氏からのコメント。
コメントしていただいた方々(Facebookにおける登録名そのまま、順不同)
田中圭さま、佐藤厚さま、Heihachiro Osakaさま、山下芳文さま、Tamejima Satosiさま、福畑 敏光さま、嶋田 春幸さま、大澤風季さま、寺井祐二さま、Kengo Kitamotoさま、和田 輝久さま、門家重治さま、高橋 一弘さま、中川 正樹さま、末廣 孝一さま、松﨑 圭佑さま、日高 秀一さま、山崎宏海さま、月原 隆志さま、篠嵜峰子さま、田辺 聡子さま、不破 光啓さま、中村 たくやさま、佐々木 隆志さま 投稿者 土岐耕司 原文作成日 2024年1月8日 内容更新日 2024年1月10日 ※このページの情報は、Facebookグループ『WEB魚図鑑の部屋』に寄せられたコメントを基にまとめたものです。 WEB魚図鑑 ブリ https://zukan.com/fish/internal10