画像:WEB魚図鑑より(ユジダルさん撮影)
寄せられた地方名
岩手県 宮古市 セグロイワシ・マサゴ・マサゴイワシ
千葉県 セグロ・セグロイワシ
東京都 セグロイワシ
神奈川県 シコイワシ※
富山県 ハリガン※
三重県 南伊勢町 カタクチ・エタレ・ドロボウ
京都府 舞鶴・宮津市北部 タレクチ
大阪府 カタクチ
和歌山県 セグロイワシ
広島県 コイワシ・ナマエ・ナンマンエー※
島根県 コイワシ・タレクチイワシ
高知県 ホタレ・ホタレイワシ、出世名としてチカ→カチリ→カエリ→ホタレ
愛媛県 松山市 ホウタレ
長崎県 佐世保 エタレ、長崎市・島原 エタリ
熊本県 天草 タレ・タレイワシ・エタレ・タレソ、水俣市 ジャミ(極小)→チリメン・ジャコ(小)→カエリ(中)→タレ・タレソ(大)
宮崎県 タレクチ
鹿児島県 長島・阿久根 タレ
※「神奈川では、四子イワシです 四季を通して産卵するかららしいです」:原田中也氏コメントより。
※「富山では、ハリガン。 針金の訛り」:松山 喬平氏コメントより。
※「ナンマンエ~ェ ナマエという売り声もありましたよ。 生餌だそうです。 40年以上前の本通とか リヤカーでおばあちゃんが売ってて 竹べらを曲げたのとか 割り箸に髪のヘアピンを取り付けたのとかで 三枚におろしてました。」:重光陽一郎氏コメントより。
何が「垂れる」のか?
改めて「タレ」とは一体何なのか、考えてみたいと思います。1つのヒントとして、「頬が落ちるほど美味い」から「ホウタレ」というのがあり※、それだけ見れば「なるほど」という気にもなります。でもそうなると、タレクチ・エタレ・タレソの意味がよく分からなくなります。
そもそもカタクチイワシの語源は、「上あごだけで片方の口しかないように見える」※というのが通説のようで、「タレクチ」もそこに通じるように思います。そう考えると、「エタレ」は「エ」+「タレ(クチ)」であり、「エ」は「餌(えさ)」のことを指すのかも知れません。広島県の地方名「ナマエ(生餌)」に通じますよね。
「ホウタレ」に話を戻しますと、これは人間の頬ではなくカタクチイワシの頬が垂れていることと解釈する方が妥当ということになるのではないでしょうか? 再度画像を確認すると、確かに頬が垂れているように見えますし。
でも「頬が落ちるほど美味い」こともまた間違いがなく、どちらも正解であるということにしておきましょう。
※「愛媛県松山市ではほうたれですねぇ~( *´艸`) 頬が落ちるほど美味しいからと聞いた事が有ります!」:日野林 壮健司氏コメントより。
※https://gogen-yurai.jp/katakuchi/ (2022/4/18閲覧)
漁師言葉を考えるうえで
今回すごく勉強になったのは、
「千葉でもセグロイワシですね。房州の沖合漁業の漁師は紀州からの移民集団ですので、紀州の語彙が移植されているのだと思います。」:村山 茂樹氏コメントより。
でした。地方名「セグロイワシ」の分布を見ますと、たしかに和歌山県および千葉県・東京都・岩手県となっており、そのようなストーリーがあったことを彷彿させます。
漁師の集団移住による言語の変化。このことは他の魚にも当てはまるはずです。
コメントしていただいた方々(Facebookにおける登録名そのまま、順不同)
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