海水魚

【カマス】その魚名を考える


画像:WEB魚図鑑より(ゆうでんさん撮影)

少なかった地方名

今回、コメントを寄せていただいた方は13名と、非常に少ない結果となりました。さらに見てみると、アカカマス・ヤマトカマスの区別名のみに言及されていた方が7名、サイズ別の呼び名を教えていただいた方が2名、「カマス」と呼んでいることを報告してくださった方が4名。「カマス」自体の地方名を教えてくれたのは、又吉勲さんからの「カマサー」(沖縄地方名)のみであり、それすらも明らかに「カマス」を語源としているものでした。

この結果は、軽い気持ちで地方名を募集してしまった私にとってはかなりの驚きであり、「カマス」という名詞がいかに国内で浸透しているかを表すものでもあると思いました。マダイ・ナマズに続き、「最強魚名」の1つと認定したいところです。

「カマス」の語源

どうやらダツと似た語源のようで、これ以外の説はネット上で探せませんでした。

「「カマス」の名前は、大きな口が、藁蓆(わらむしろ)で作られた穀物や石炭を入れる袋「叺(かます)」に似ていることに由来する。」
https://www.hagoromoso.jp/2018/06/22/ (2023/3/4閲覧)

「~に似ているから」というパターンは魚名でもよくありますが、その割に地方名が少ないということは、魚名の成立が古かった、あるいは多くの人がその呼び名に納得して使用した、ということなのでしょう。

寄せられた地方名

アカカマスとヤマトカマス
【アカカマス】               【ヤマトカマス】
 カマス                       ミズカマス         (和歌山県、鹿児島県串木野)
 アカカマス                  ミズカマス         (山口県下関市)
 ホンカマス                 ミズカマス         (高知県西部)
 カマス                      クロカマス         (長崎県長崎市南部)
 ホンガマス                 カマス               (熊本県水俣市)
 マガマス                   ミズガマス        (宮崎県日向市細島)

大型のもの
 アラハダ(三重県南伊勢町)、シャクハチ(和歌山県)

小型のもの
 ハリカマス(和歌山県)

カマスと呼んでいることが確認された地域
 三重県南伊勢町、高知県中・西部、愛媛県宇和島市

カマサー
 沖縄県

浅利主税氏の体験談

かつて何処かで確かにあったシーン。貴重なお話を寄せていただきましたので、ここに残しておきます。

「夏の真っ盛り、高知県土佐清水市足摺岬地域に突然サイレンが鳴り響きます。そのあと「カマス漁に行く方は港まで来て下さい」の放送が流れ、我々夏休みでヒマこいてる高校生は、水中メガネと足ヒレを持って港へ行くと、「これに乗れ」と漁船に乗せられ出港します。前日カマスの大群が確認された付近の磯に着くと「若い衆飛び込め!」と言われ、僕らは海に飛び込みカマスの群れを探すのです。離れた磯でその群れが見つかると、アチコチの若い衆は舟で回収され、カマスの大群が見つかった磯に全員投入され、追い込み漁が始まるのです。網を入れ泳いでカマスの群れを追い込み、網を閉じると後は舟に上がり引き揚げを手伝いますが、頭が千切れたヤツなど、商品にならないヤツは、その場で酢味噌に付けて食ったりみんなの取り分に分けられたりします。獲ったカマスはすぐに近くの漁港に入って現金に換え、その漁に加わった者全てに平等に配分されました(船頭などは倍額)。僕が参加した40年以上前のときは、当時10,000円もらいました。しんどかったけど楽しかったですよ。」

コメントしていただいた方々(Facebookにおける登録名そのまま、順不同)
又吉勲さま、浅利主税さま、末廣 孝一さま、吉田 直樹さま、藤原 寛さま、髙田 一人さま、冨岡 慎之介さま、嶋田 春幸さま、大澤風季さま、坪内茂さま、門家重治さま、田中圭さま、本田 文広さま


投稿者 土岐耕司

原文作成日 2023年3月4日

※このページの情報は、Facebookグループ『WEB魚図鑑の部屋』に寄せられたコメントを基にまとめたものです。

WEB魚図鑑 カマス(アカカマス)
https://zukan.com/fish/internal827

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