アカエイの刺身(大家 正寿さん提供)
質問文
時折大発生したことが報道される魚であり、毒トゲを持つことでも知られていますね。このようなイメージもあって、食用魚としてのエイ類は敬遠されがちな感じがしています。
私は津軽出身なので、「カスベ」という名前のエイ類が身近な存在でした。煮付けで食べるのですが、軟骨魚網ならではの食感が好きでした。ただ、それが何エイだったのかは分かりませんでしたし、今まで「アカエイ」だと認識して食べたこともありません。
また、このグループを通じて、どうやらアカエイの「肝」が相当美味しいらしいことを知りました。レバ刺しが食べられなくなった今、貴重な食材になり得るのではないかとも思っています。
皆さんのご地域において、「アカエイ」はどういった存在でしょうか? いつものように、以下の評価方法でコメントいただければと思いますが、可能であれば「身」と「肝」は区別してご評価いただきたいです。
★★★★★ 最高評価。文句なし。
★★★★ 非常においしく食べられる魚
★★★ 普通においしく食べられる魚
★★ 食べられるが、味はまあまあ
★ あまりおすすめできない
▲ 普通、食用としない (2024年8月20日)
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上記の質問に対して、複数のコメントをいただくことができました。コメント者数は38、提示していただいた地域は16(重複あり)、★による評価数は24でした(集計は2024年9月9日)。地域については、広範で偏りがないことが注目できるかと思います。
★の数(身肉について)
★★★★★ 4 (17%)
★★★★ 12 (50%)
★★★ 4 (17%)
★★~★★★ 1 (4%)
★★ 1 (4%)
▲ 2 (8%)
アカエイの身肉について、★の平均は3.52でした。★★★★が半数を占めている一方で、▲が2名おられ、そもそも食用として取り扱われていないというケースがあることも分かりました。
調理法
煮付け・煮もの:18
「煮凝り」への言及:7
揚げ物:12
刺身系:7
味噌汁:4
「エイヒレ」への言及:4
その他:11
鮮度と処理
どの魚にも言えることなんでしょうが、特にこのアカエイについては鮮度が大事みたいです。さらに、処理の仕方にも、独特の気配りが必要なようですね。
「昔、大阪の北海道料理屋でアカエイの味噌煮を出してもらいましたが、鮮度と処置の問題だとは思うのですがアンモニア臭くて次は遠慮したいです。」:野村 卓司氏からのコメント。
「ちゃんと血抜きと、内臓その場で取って、海水氷で締めて持ち帰るかヒレのとこだけ持ち替えれば鶏より美味しい唐揚げできるし、エイヒレできるし、煮凝りできるし、臭みなんて一切ありません。 みんな何故リリースするのかわからないけど、多分めちゃくちゃ美味しい部類と思います。」:藤井 正道氏からのコメント。
「星の評価は4ですが、但し捕獲直後の個体を丁寧に血抜き及び内臓抜きしたモノに限ります(内臓も洗って別途保存) 血抜きしないで冷やすと腹側の皮下にこの様な斑紋が出る事があり、またサメと同じ板鰓類なので、血中の尿素がアンモニアに変わり臭みが出ます・・・腸や胃袋等の内臓も湯掻いてから水に晒すと臭みを取る事が出来ます」:田中 一嘉氏からのコメント。
血抜きしないで斑紋が出た個体(田中 一嘉さん提供)
「まず新鮮なモノを手に入れる必要があります。んで、デカいまな板と水が潤沢に流せる捌き環境が必要です。ウロコは無いけどその代わりぬめりがハンパなく付いてます。僕はスクレーパーでこそげ取ってます。セリアのんです。ぬめり取れたら 先ず腹を裂いて肝を外し、その後はネット動画を見て身を切り分けてください。それら以外はぬめりも併せてデッカい生ゴミができます。畑に埋めるか刻んで餌台に置いてカラスにあげてください。 皮に独特のクセがあり嫌いな方もいらっしゃいます。煮付け、唐揚げも効率して皮取るかどうか判断してください。この子の長所は煮付けたら煮凝りになることと、エイヒレに加工できるところかと思います。嫌われ物ですが、せめて捕獲された個体は無駄なく利用されて欲しいと思います。」:Takeshi Yamanaka氏からのコメント。
アカエイを食べないのはナゼか?
「大分県大分市佐賀関▲ 昔から漁協が漁師から買わない魚🐟アカエイ ボラとか佐賀関の魚屋さんには売って 居ません。だから食用にしないと思います」:姫野宗史氏からのコメント。
「島根県東部 カスベ(ガンギエイ)は松江では食べるものの30kmほど離れた出雲では食べない。。。 逆に松江ではアカエイ食わないので売ってない(≧∇≦) カスベもアカエイもそんなに美味いものではないですが、そもそも船の上で可食部(両ヒレ)だけ取って捨ててしまうので。。。」:けん けん氏からのコメント。
次世代の「レバ刺し」?
牛のレバ刺しが食べられなくなって久しいですが、アカエイの肝はその座を踏襲できる存在なのかも。天然魚なので、個体や時期に左右されるようですが、かなり魅力的な食材なのではないでしょうか? 食されている方の評価は、かなり高いです。
「レバ刺し最高😃 😊黄色いレバーなら抜群😆黒いレバーはダメです❗️後生きてるエイなら大丈夫ですよ😆塩と胡麻油で食べて下さい🤭その食べ方だと癖も気になりません🤭しっかり真水で洗って、一口大にして召し上がってみて下さい♪」:寺井祐二氏からのコメント。
「肝は魚類中でも上位にランクされると思います。牛の生肝はあまり好きではなかったけど、エイの肝は美味しいです😊」「生です😊白っぽく肥大した肝じゃないとダメです。 ★★★★★です😊」:田中圭氏からのコメント。
「肝臓→★★★★・・・肝は豊満な白色よりなら 氷水の中で血抜き洗いして ゴマ油、塩、小ネギみじん、またはみじん生姜です。 赤い痩せた肝はそっけなく生臭い。 いずれも胎性(卵胎性)のため 産卵後は身が痩せます。 特に肝は旨さがおちます。」:佐藤厚氏からのコメント。
アカエイ-ファンタジスタの田中さん
魚の調理法について、毎回貴重なご知見をお寄せいただいている「田中 一嘉」さんから、今回もたくさんの事例をお寄せいただきました。本ブログで掲載するのも失礼に当たるような感じなのですが、掲載についてご快諾いただきましたので、余すところなく紹介させていただきます。
【エイのレバ刺しとエンガワの刺身】
「レバーはトロリとしていて鶏の白肝刺しの様で、縁側はコリコリしていて、どちらも非常に美味 エイの肝が黒っぽい場合、肝硬変を起こしてる可能性が高く、ドブ水みたいな臭いがしました また肝には『胆嚢』が付いてるので、それを破らない様に気を付けて取り除き、少し水に晒してから調理しました」
【エイモツの漁師盛り】
「下処理したエイのモツを刻んで水菜の上に散らし自家製の唐辛子醤油を掛けました 通常の肉のモツよりクセが無くて美味しかったです」
【エイの縁側と尾の身の唐揚】
カレー塩で下味付けて、市販の唐揚粉と片栗粉を半々にして塗し、170℃の油で2度揚げしました 特に『尾の身』は河豚の唐揚と甲乙付け難いくらいのレベルで非常に美味しかったです おそらく尻尾を常に動かしている為に筋肉の発達が良い為かと思います
【エイモツのネギ塩炒め】
下処理したエイのモツ(メスなのでおそらく子宮、別個体のオスには無かった)をニンニク・ショウガ・豆板醤・ネギの青い所と一緒に炒め、酒・塩・胡椒で味付けし仕上げに胡麻油を垂らしました 尚、エイのモツは市販の塩ダレで揉んで下味付けてあります
【エイの煮凝り】
切り身のエイの煮付けの汁臭いが解した身を加え冷やして固めたモノ エイ等の板鰓類はコラーゲンが豊富なので、通常の煮魚よりも煮凝りに成り易いと思います
【エイのポワレ】
1:エイの縁側を身と骨に分け、身は塩・胡椒し少し強力粉を振って、身を中火~弱火のフライパンで蓋をして蒸し焼きにし、バターを少し入れる 2 :残った骨は塩・胡椒・ガーリックパウダーを振って強力粉を塗して170℃で2度揚げにする(軟骨チップ) 3:ソース 新タマネギの微塵切り・1/8カットしたミニトマト・細かく切った新ワカメ・万能ネギの小口切り・ケッパーを合わせオリーブオイル・塩・胡椒・バルサミコ酢で味を調える 4 :付け合せ 新タマネギの輪切りの外側を強力粉を塗し揚げる(タマネギチップ) ニンニクのスライスも揚げる(ニンニクチップ) 新タマネギの内側(1cm厚)をフライパンで焼き目が付く程度にソテー 5:仕上げ 皿にタマネギソテーを乗せ、その上に水菜を乗せ、ポワレしたエイを乗せ、ソースを掛け、次ににタマネギチップ・ニンニクチップ・軟骨チップを添え、仕上げにバルサミコ酢を煮詰めた物(作り置き)を垂らし、最後に万葱の穂先を添えて出来上がり こうするとエイがお洒落なフレンチっぽい仕上がりに成ります
「重要食材」だと思いませんか?
食べられるモノはたくさんあるのに、流通に乗らないから・値がつかないから、あるいはイメージが悪いからとかいって、消費者に届かないものがたくさんあるように感じています。時折大量発生するアカエイが十分に美味しく食べられる魚なのであれば、それは利用しない手はないのではないでしょうか。なんとなくそんなことを考えさせられてしまうコメントを、以下に紹介させていただきます。
「今日も魚の煮付けか〜という漁師の食卓だったので、、 「うまいから食えっ!」て感じであらゆる未利用魚を食べさせられて育ちました(^^;)」:嶋田 春幸氏からのコメント。
「甑島の中甑漁港で、地元の人が釣れたアカエイをいそいそとさばいて、いそいそと持ち帰っているのを見て、「あれをさばけたら、さぞ食いでがあるだろうな」と思いました。」:山出 潤一郎氏からのコメント。
コメントしていただいた方々(Facebookにおける登録名そのまま、順不同)
ウチダ ヒサカズさま、姫野宗史さま、嶋田 春幸さま、田中圭さま、けん けんさま、大家 正寿さま、上山浩さま、佐藤厚さま、野村 卓司さま、齋藤 直樹さま、伊藤 成康さま、寺井祐二さま、池藤宏治さま、藤井 正道さま、渡辺 邦充さま、石川 生紘さま、倉林 宏平さま、佐藤博昭さま、小松光広さま、安富二夫さま、大澤 建さま、安光孝則さま、杉江 昇さま、山出 潤一郎さま、今田慎一朗さま、早間 徳海さま、大西賢治さま、大澤美智子さま、貴島 直樹さま、山中 聡さま、今田 慎太郎さま、中尾 史仁さま、田中 ミエさま、吉田明広さま、川上義仁さま、田中 一嘉さま、伊藤 賢一さま、Takeshi Yamanakaさま
投稿者 土岐耕司
原文作成日 2024年9月12日
※このページの情報は、Facebookグループ『WEB魚図鑑の部屋』に寄せられたコメントを基にまとめたものです。