シイラの生ハム(田中 一嘉さん提供)
質問文
食材としては、あまり話題に上らない気がするシイラについて、お住いの地域での食味評価を教えてください。
★★★★★ 最高評価。文句なし。
★★★★ 非常においしく食べられる魚
★★★ 普通においしく食べられる魚
★★ 食べられるが、味はまあまあ
★ あまりおすすめできない
▲ 普通、食用としない (2024年6月14日)
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上記の質問に対して、多くのコメントをいただくことができました。コメント者数は88、提示していただいた地域は70(重複あり)、となっています。★による評価数は85ですが、地域・時期・調理法などで同じ方が複数の評価をしている場合があります(集計は2024年6月21日)。
★の数
★★★★★ 8 (9%)
★★★★ 32 (38%)
★★★ 30 (35%)
★★ 11 (13%)
★ 2 (2%)
▲ 2 (2%)
★の平均は3.32、★3つ以上を合わせると82%となりました。シイラは概ね美味しい魚であると認識されていると考えて良いでしょう。
調理法
複数回答となりますが、大体以下のようになりました。
フライ:38
生食系(刺身・カルパッチョなど):37
洋風焼き系(ソテー・ムニエル・ピカタ・バター焼など):24
和風焼き系(干物・塩焼き・照り焼など):15
その他:18
脂が少ない?
調理法を見てみますと、フライやムニエルといった油モノが目立ちます。これには、シイラには脂が少ないので油との相性が良い、というニュアンスのコメントを複数いただいていて、「アブラの抜けたブリ」というような表現をされる方もおられ、その点については私も「なるほど」と思いました。その一方で、脂の乗ってくる秋・冬の刺身は美味しい、というご意見も多く寄せられました。刺身に不向きな時期のモノであっても、肉量が多く臭みも少ないシイラは油モノには重宝され、そもそも生食しない外国では敬遠されずに利用されることが多いのかもしれません。国外への輸出に関するコメントも、いくつかいただいております。
(筒井 郁夫さん提供)
シイラの刺身
時期・鮮度・処理方法さえ良ければ、「シイラの刺身は美味しい」とおっしゃる方が20名以上いらっしゃいました。どうやら生食シイラは鮮度が命のようで、寝かせて(熟成させて)生食するには向かない魚のようです。刺身の評価が高いのは、高知と中国地方山間部で目立ちます。高知では葉ニンニク入りの酢ぬたで食べるのが一般的であり、かく言う私も高知滞在中にハマった一人です。
意外だったのが、中国地方の山間部における事例です。比較的日持ちのするサメなどであれば理解しやすいのですが、鮮度が命のはずのシイラが山間部で重宝されているというのはどういうことでしょうか。非常に興味深い事例だと思います。
マイナス要素
今回のコメントで目立ったものとして、表皮に雑菌がある、謎の毒がある、というものでした。生食して食当たりした経験があるというのも散見され、それが「生食<加熱」という結果を招いている一因となっているようです。
もう一つのマイナス要素として、「シイラは水死体等に群がる」ということ。年配の人ほどこれには過敏のようで、和歌山や南西諸島で忌み嫌われる原因となっているようです。表層魚の習性なのでしょうがないのかも知れませんが、なかなか難しい問題です。
興味深いコメント
含蓄に富むコメントが、たいへん多く寄せられました。全コメントを載せたいくらいですが、これでも泣く泣く割愛しました。
「宮崎県延岡島野浦 すり身にして手の平大に伸ばして揚げます。 揚げ身、色々な魚で作りますが、シイラで作ると真っ白で品のいい味になります。」:坪井 安男氏からのコメント。
「(屋久島)の老人達は、「マンビキ」と言っただけで絶対食べようとしません。 と言うのは、流木や流れ藻などによく付く魚なので、水死体にも付いたリしていたらしく、昔は「死体を喰う魚」と思われていたようです。 今は、漁協婦人部の作る『シイラのバジルオイル漬け」が人気商品になっています。』:田中 ミエ氏からのコメント。
「日本では不人気でも海外では高値が付くので、仕入れ値が安い日本で買って輸出されてることが多そうですね。 和歌山あたりで畜養されてたやつを輸出した記憶があります。」:下原 誠明氏からのコメント。
「島根です 市場評価 ★ 4kg以上の大きなものは出回りますが、釣れるようなハマチに毛が生えたサイズのものはゴミです 新鮮なものは刺身にしたりもしますが、別に美味いわけでもなくヒスチジン多いため鮮度の落ちが早く基本的には刺身にしてはいけない魚とされています。 こちらでとれたものはほぼ全量中国に輸出されているようです」:けん けん氏からのコメント。
「北海道オホーツク知床です。 夏から秋にかけて サケマス定置網にかかり、スーパーでは刺身用、フライ用どちらも需要があります。 小型サイズは 中国輸出向けに販売されてましたが、今年についてはまだ不明です。 干物やトバにして 販売されている方もいますね。」:横山保英氏からのコメント。
「佐賀県有田町です。有田のおくんちと呼ばれるお祭の時の献立にでます。金山と呼んでいます。刺身や照焼として出てきます。おくんちでは踊り手さんにお振舞いとしてお出しする為のお料理でもありますので、安価なシイラを鰤の代替え品として使ったと言われています。」:Ota Takeshi氏からのコメント。
「和歌山では他に魚が豊富ということもありますが、シイラの性質上、死人食いと言われて忌み嫌われます。スポーツフィッシングで見直されてはきてますが、漁師はセリにもかけません💦もったいないと思います。」:田中圭氏からのコメント。
「鹿児島県南さつま市野間池です 引きが強く吊り上げてからも暴れて邪魔な魚です 値段も安く浜値も数十円 氷代にもならない オマケに傷みやすい」:中村 早人氏からのコメント。
「シイラは、体表に、雑菌が多く、静岡では、刺し身にする前に、丁寧に、清水で洗います。包丁も洗ってから、3枚におろし、皮を剥ぎます。後は、刺し身にしたり、皆さんが言うように、フライやムニエルが良いと思います。」:山下芳文氏からのコメント。
「漁師してた時の特権というか 取れたすぐのシイラはマジで美味かった刺身もフライもめっちゃくちゃ美味かった 寝かせて見たこともあるけどあれは取れたすぐ食べる魚かな」:木下潤一氏からのコメント。
「私の田舎の島根県中部では、貴重な魚だったのだと思います。安くて、手に入りやすい魚ということだったのでしょう。 祖父の家に帰省すると(50年くらい前ですが)祖母が、山を下り、五十猛町の大浦漁港で、買い求めて振る舞ってくれてました。 刺身と煮付けで食べていたと記憶しています。 私も大人になるまで真鯛など食べたことなかったので、貧しい農村ではとても貴重だったのではないかと思います。 大人になってから知ったのですが、島根県浜田市ではシイラ(マンサクと言ってました)沖漬けという料理がとても美味しかったです。 初めて食べて以降、時々自分で作ってました。 3枚に下ろして、皮付きのまま2センチ角に切り、強めの塩で締めたあと、洗って生姜をたんまり擦って酢漬けにして食べてました。 日持ちがするし、酒の肴には最高ですよ。 モノの本にはシイラの皮は当たるから気をつけろと書いてありますが、これまで当たったことはありません。」:長尾誠氏からのコメント。
「自分で釣ったヤツを、直ぐに船上で血抜きして、エラと内臓を出してキンキンに冷やして持ち帰ります この状態で表皮の色が黄緑色っぽければ鮮度に問題ないですが、黒銀色っぽくなっているヤツは身焼けしている可能性が高いので調理しません 鮮度が良いヤツは、身は刺身やカルパッチョや生ハムにしても美味しいですし、フライやソテーにしても美味しいです」「鮮度が良いヤツは内臓も美味しいので、胃袋も割いて内容物を海水で洗い、持ち帰って調理するとイカみたいな歯応えです この時は、アラと胃袋と卵をゴボウと一緒にショウガと醤油で炊きました」:田中 一嘉氏からのコメント。
「脂が抜けたブリみたいな感じ。 バター焼きや揚げ物などで油を加えればそれなりに食える。相模湾ではカツオ&マグロの外道で引きが強くそれなりに人気な釣魚ですが、わざわざ持って帰ろうとは思えないですね。」:山口 有一氏からのコメント。
「・・・昔は釣ったシイラをよく食べました。 刺身とフライ、ムニエルが多かったですね。家族も美味しいと言って食べていました。・・・ しかし、刺身で一度当たったことがあり、それ以来家族はあまり刺身を食べなくなりました。シイラ毒(毒物不明)には気をつけたほうが良いですよ。」:Shintaro Sekine氏からのコメント。
「島根県出身です。親戚の集まりの時に生姜・茗荷を効かせた酢の物がよく登場していたのですが、これがなかなか美味しかったのをよく覚えています。お酒に合うのはもちろん、子供の頃から親しんでおりました。」:小林優也氏からのコメント。
「高知です。 130cm以上になると釣った後の氷保存なら刺身でかなり行けます。 ・・・一般的に釣れるのは脂分が少ない為バターでのソテーなどが多くなるしバジルソースなどならイタリアン、ブールブランならフレンチ バター醤油なら日本💕 ・・・乳酸の溜まった個体は美味しく無く大きくても酸味が出てくるから早どりで締めて速攻で潮氷でないとパスになるね😰」「ヌタは美味しくいただけますけど私の父は2回シイラにあたり以後刺身では食べなかったです。 ・・・シイラとカジキ(ナイラゲ)はフライやバターソテーのような油を使う料理がいいですね。」:中尾 史仁氏からのコメント。
「・・・富山湾で釣ったシイラを焼いて食べたところスカスカで物足りない味(★★)でしたが、同じものを料理の得意な知人にお裾分けしたところ独特の味付けの揚げ物(素揚げ?)にしてくれて、驚くほど美味かった(★★★★)記憶があります。 シイラって揚げ物に合う肉質なのかもしれないですね。」:倉科 謙二氏からのコメント。
「グアムを旅行中に、ハガニアの港でルアーを投げて、オニカマスのような魚を釣っていたら、地元のフィリピン系の10人くらいのグループが、「マヒマヒ鍋」でビールを飲んでおり、「お前もこっちへ来い。食え。飲め。どこから来た」と混ぜてくれました。釣り人は警戒されないので、よくこういうことがありますね。 鍋はシイラの水炊きで、青唐辛子とライムと醤油でぽん酢を作り、なかなかけっこうなものでした。彼らはいわゆる「ファミリー」で、銀行や新聞社などに務めている若い衆もいれば、会社のオーナーもいて、フィリピン系のコミュニティを大事にしているようでした。」:山出 潤一郎氏からのコメント。
「福岡県です。夏~秋に近所の魚屋やスーパーによく並びます。この物価高の中で安くて良質なタンパク源として重宝しています。・・・ウチではフライが子どもたちの好物です。フライが面倒な時は、マヨネーズを塗ってパン粉を付けて焼いて出しています。これも美味いです。」:久野 洋氏からのコメント。
「(島根県、広島、山口」の山間部に行くと星⭐️5つです😆刺身、酢締め、焼き物、フライ、ムニエルなど多彩なメニューあります😆びっくりするのが、塩シーラの刺身😲山間部よく食べるみたいですね😲いずれも県境メニューです😊後、御年配は茄子とアラを炊くのがメニューにある人、多数いますよ♪):寺井祐二氏からのコメント。
「食味に関しては鮮度に依存する部分が多く、与那国島でいただいた刺身は★★★★★。 沖縄本島、読谷村の民宿でいただいたホイル焼きは鮮度が落ちていて★★です。」:大澤 建氏からのコメント。
「長崎県平戸市度島町 調理法ですが、私の先輩漁師で平戸本土の方でシーラの内臓を塩辛にしてる人がいました。 胃袋は綺麗に洗って細切り、内臓は内容物しごいて、適当な大きさに切って作ると言ってました。 大きなシーラ(此方では金山(かなやま))だと1匹でそこそこ出来ます。」:福畑 敏光氏からのコメント。
「高知です。 新鮮なら刺身で。青唐醤油かヌタ(高知のニンニク酢味噌)で食べます。加熱すると上品な味の白身でとても美味しいのでフライ、ムニエル、天ぷら、塩焼き、何でもいけます。 一夜干しや味醂干しも良いし、幸運にも卵が入っていたらぜひ煮付けで! 最近、個人的にハマったのは醤油バター焼きです。」:Fumiko Kumar M氏からのコメント。
「私の位置付けでは刺身の場合、ヒラマサの上、カンパチの下くらい。 漬けにするとマグロの次くらい。 絞めてすぐ、血抜きと内蔵抜き、更に背骨周りの腎臓をキチンと抜けば臭みは保々ありません。 長崎県平戸市生月島ではブランド物、トヨヒメシイラとして海外に輸出してます。 ハワイ等に。」:原野 陽一氏からのコメント。
「(沖縄では)マグロの赤身やカジキの刺身と同じ感覚で食されています 釣り物としては好まれる魚ですけど、食べるとなると、高齢の方には水死体に付く魚と言われていて好まれません」:仲間 和則氏からのコメント。
「ブリみたいな感じだといつも思います。 サイズや海域・季節で味がガラリと変わるところもブリっぽいですね。」:新垣 ほなみ氏からのコメント。
コメントしていただいた方々(Facebookにおける登録名そのまま、順不同)
久保政士さま、坪井 安男さま、田中 ミエさま、Myron Clarkさま、下原 誠明さま、けん けんさま、國藤 弘展さま、大河内恵介さま、横山保英さま、近藤 敏康さま、Ota Takeshiさま、Yuko玄滿Abeさま、月原 隆志さま、池藤宏治さま、繁田夏樹さま、長坂顕さま、江川 正己さま、ぢゅん ぢゅんさま、吳瑞賢さま、高平康史さま、小貝 修司さま、嶋田 春幸さま、深田吉宜さま、田中圭さま、中村 早人さま、松生 世紀さま、山下芳文さま、三橋 学さま、Toshio Kyotokuさま、鈴木 仁司さま、木下潤一さま、長尾誠さま、太田 浩道さま、イマイ ノリコさま、増渕康夫さま、畑 裕也さま、松原 肇さま、坂口博範さま、福畑 敏光さま、田中 一嘉さま、伊藤 賢一さま、岡本 修司さま、日高 秀一さま、山口 有一さま、Shintaro Sekineさま、Sakae Kudohさま、西野敬さま、田中宏幸さま、伊藤 成康さま、梶原 正さま、仲澤 伸泰さま、茂 佐藤さま、小林優也さま、中尾 史仁さま、Yoichi Kadotaさま、倉科 謙二さま、磯 淳一さま、松山 絢也さま、大工原 陽一さま、山出 潤一郎さま、甲斐 哲也さま、久野 洋さま、野村 卓司さま、寺井祐二さま、五十嵐 英さま、大澤 建さま、田村 稔治さま、筒井 郁夫さま、平岡 丈夫さま、谷川 太さま、Fumiko Kumar Mさま、Kengo Kitamotoさま、町田 賀法さま、原野 陽一さま、鈴木 仁司さま、森川和樹さま、西川 信也さま、河野徳夫さま、仲間 和則さま、Kenji Satouさま、東 真実さま、新垣 ほなみさま、森田 徹哉さま、村上 八朗さま、菅野 明人さま、畠中耕太郎さま
投稿者 土岐耕司
原文作成日 2024年6月21日
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