海水魚

【ホウボウ】その魚名を考える


画像:WEB魚図鑑より(室田信さん撮影)

「ホウボウ」の語源

「方頭(カナガシラ)の近縁種で形も似ていることに由来するという説、頭が大きく角ばっていることから「方帽」に由来するとする説、「這う魚」が転訛したとする説、浮き袋の振動による鳴き声に由来するとする説などがある。地方名にカナンド、キミ、キミウオ、キミヨ、ドコ、ホコノウオなどがある。」 https://hachimenroppi.com/wiki/details/houbou/ (2023/4/26閲覧)

「ホウボウの語源には、浮き袋を使ってボーボーと音を出して鳴くことから、鳴き声に由来する説。 魚には珍しく這って歩くことから、「這う這う」が「ほうほう」となり、連濁して「ホウボウ」になった説。 この魚は体表が滑らかで美しいが、頬張った顔をしていることから、「ホホボネウヲ(頬骨魚)」が「ホウボネウヲ」「ホウボウヲ」と変化していって、「ホウボウ」になった説などがある。 いずれの説も十分に考えられ、特定は難しい。」 https://gogen-yurai.jp/houbou/ (2023/4/26閲覧)

どれもこれもありそうな説であり、このうちのどれかが有力とは言えない感じです。しかし今回の地方名募集の結果から考えると、何となく真相に近づいたのではないか、と思うようになりました。

寄せられた地方名

ホウボウと呼んでいることが確認できた地域
千葉県、三重県南伊勢町、京都府、大阪府、鳥取県中部、山口県下関市、香川県、愛媛県宇和島市、熊本県水俣市

その他
コトブキ(青森県鯵ヶ沢)、カナガシラ(山形県鶴岡市)、コト(鳥取県中部)、ガッツ(長崎県)、ホンブ(長崎県雲仙市)、コノウヲ・ホコノウヲ(八代海北部)
ロビンフィッシュ(海外)

ホウボウの特徴

ホウボウの最大の特徴は「美しくて大きな羽(胸ビレ)」にあるように思います。それなのに、この特徴に着目したような呼び名が見当たらないのはかなり意外です。

ホウボウについての特徴を羅列すると、「海底を這いまわる→足みたいな胸ビレもある」、「頭が角張っていて、硬い骨で覆われている」と続き、ここでやっと「グーグー鳴く」というのが捻り出されます。私もホウボウは釣ったことがありますが、その羽の美しさに見惚れたことはありますが、グーグー鳴いていたかなんてことは、まったく覚えていませんでした。

ホウボウは鳴く魚

佐藤厚さんからのコメントです。

「雲仙市です。 おやじ世代は ホンブとよんでました。 ちなみにシマイサキは ホンチョです。」「どちらも、こもった グーグー鳴きに関連していたのかなと。」


ホウボウのことを「ホンブ」、シマイサキのことを「ホンチョ」と呼んでいて、両者に共通するのは「ホン」なので、この語音が「グーグー鳴き」の特徴を表しているということになります。また、「ホンブ」の響きは「ホウボウ」に近いようにも思います。

シマイサキに近い魚に、コトヒキがいます。コトヒキもまた「グーグー鳴き」する魚であり、だから「琴弾き」という名前が与えられたようです。こうなってくると、鳥取県の「コト」という地方名も「琴」に由来するような気になってきますし、青森県の「コトブキ」は「コトヒキ」が訛った結果なのかもしれません。

コメントしていただいた方々(Facebookにおける登録名そのまま、順不同)
高平康史さま、佐藤厚さま、菊地 一志さま、寺井祐二さま、嶋田 春幸さま、亀田孝輔さま、中西 啓二さま、大澤風季さま、落合 泰樹さま、Akira Nagasawaさま、長崎ばってんさま、北條 晃紀さま、中村 中さま、下原 誠明さま、岡本 英明さま、門家重治さま、遠藤 良太さま、吉田 直樹さま、犬山太郎
さま


投稿者 土岐耕司

原文作成日 2023年5月1日
内容更新日 2024年3月21日

※このページの情報は、Facebookグループ『WEB魚図鑑の部屋』に寄せられたコメントを基にまとめたものです。

WEB魚図鑑 ホウボウ
https://zukan.com/fish/internal394

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