画像:WEB魚図鑑より(孤高の岸壁人さん撮影)
はじめに
サワラの小さいヤツを「サゴシ」と呼ぶというのは、九州で過ごすことが多かった私にとって半ば常識化していました。しかし皆さんからの情報を見てみると、サイズに関わらず「サワラ」としか呼ばない、あるいは「サゴシ」としか呼ばないというのがあったり、どちらの呼び名も使っているというのがあったりしました。また、出世コースの呼び名やサイズにも地域差が感じられましたので、今回はこの辺に注目してまとめてみたいと思います。
寄せられた地方名(サゴシ以外)
サゴチ(神奈川県、サゴシのこと)、アカキュウベエ(静岡県)、ヤナギザワラ※(石川県金沢市)、ソーラ(鹿児島県奄美大島・徳之島、ただし他種である可能性あり)
※「金沢でサワラといえばカジキの身のことで、鰆はヤナギザワラと呼んでます 金沢以外の石川県内ではサゴシと呼んでます」:市川 靖司氏からのコメント。
サワラとサゴシ
サイズに関わらずサワラとしか呼ばない
熊本県水俣市
サイズに関わらずサゴシとしか呼ばない
三重県南伊勢町、長崎県雲仙市、鹿児島県串木野市※
サワラともサゴシとも呼ぶがサイズ分けはしない
平戸市度島町※、宮崎県
※「サゴシ デカくてもサゴシ サワラはカマスサワラを指す たまに沖サワラとも言う、カマスサワラの事 ちなみに鹿児島、串木野地域」:坪内茂氏からのコメント。
※「平戸市度島町です。 大きさ関係無く「サワラ」「サゴシ」です。 親父世代(84歳)は「サゴシ」で我々50〜60世代は「サワラ」ですかね‥」:福畑 敏光氏からのコメント。
寄せられた出世コースと各サイズ(主観を含む)
サゴシ(40cmまで)→?→サワラ(60cm以上)
長崎県五島市
サゴシ(60cmまで)→サワラ
神奈川県、大阪府、山口県、香川県、宮崎県日向市
サゴシ(70cmまで)→サワラ
高知県西部
サゴシ(80cmまで)→サワラ
高知県東部、愛媛県松山市
サゴシ→サワラ (サイズ不明)
愛媛県宇和島市
サゴシ(50cmまで)→ヤナギ(80cm)→サワラ
兵庫県神戸市
サゴシ→ヤナギ→サワラ (サイズ不明)
兵庫県明石市
ナタマメ(30cm)→サゴシ(60cmまで)→ヤナギ(80cm)→サワラ
和歌山県
「サワラとサゴシ」小考
サワラは「狭・細(さ)+腹(はら)」、サゴシは「狭・細(さ)+腰(こし)」、というのが一般的に知られている語源だと思います。でも魚にとっての「腹」と「腰」の違いって、考えてみれば微妙です。
※「30㎝くらいまでをナタマメ、60㎝くらいまでをサゴシ、80㎝くらいまでをヤナギ、それ以上がサワラです。長さは微妙ですが、体高や魚つきがガラッと変わるので呼び分けてます。和歌山です。」:田中圭氏からのコメント。
体高や魚つき(?)がガラッと変わるのだそうですが、この手のコメントは他にはありませんでした。サゴシと呼ぶサイズにバラつきが見られることから考えても、問題はサイズではなく「魚つき」なのであって、そうであれば地域差があっても良いのかもしれません。
それにしても、「サゴシ」の分布は広いです(関東~九州)。どの出世コースを見ても、「サゴシ」がないパターンはありません。これはクロダイ・ブリ・ボラといった他魚の出世コースでも珍しいものだと思います(スズキにおけるフッコが近いとも言えますが、大型成魚をフッコとは呼ばない)。つまり「サゴシ」は、若魚の呼び名としても、地方名としても型破りな名称であると言えるでしょう。
食するにあたって
食味や調理法についてもコメントいただいておりますので、以下に紹介しておきます。
※「(大阪では)サワラとサゴシは区別して販売されています。 あくまで僕の周りの話ですが、サワラサイズは水っぽいため西京漬けにして食べることが多く、手間がかかるため釣れてもあまり喜ばれません💦 サゴシはシンプルに塩焼きにして美味しくいただかれます。 スーパーでもサゴシは切り身で、サワラは西京漬けでパック売りされているのを良く目にします。」:下原 誠明氏からのコメント。
※「香川県です ・・・ サワラの卵巣カラスミにしている 地域もあ。ます。(原文ママ)」:高平康史氏からのコメント。
※「鮮度の良いものは、刺身がおいしいです。今日も松山のスーパーで刺身パックを売ってました。個人的には、塩焼きが大好きです。きめの細かい肉質とうま味が絶品と思います。」:門家重治氏からのコメント。
コメントしていただいた方々(Facebookにおける登録名そのまま、順不同)
ワダ セイヤさま、佐藤厚さま、下原 誠明さま、田中 一嘉さま、小野村 一人さま、嶋田 春幸さま、野村 卓司さま、田中圭さま、Mitsuhiro Komatsuさま、橋本 匠さま、大澤風季さま、髙田 一人さま、福畑 敏光さま、高平康史さま、黒木健介さま、日高 秀一さま、市川 靖司さま、末廣 孝一さま、Kengo Kitamotoさま、門家重治さま、坪内茂さま、Hidetosi Honda さま 投稿者 土岐耕司 原文作成日 2023年1月10日 内容更新日 2024年1月14日 ※このページの情報は、Facebookグループ『WEB魚図鑑の部屋』に寄せられたコメントを基にまとめたものです。 WEB魚図鑑 サワラ https://zukan.com/fish/internal311