海水魚

【キュウセン】その魚名を考える


画像:WEB魚図鑑より(きくやの常連さん撮影)

コメントの傾向

今回寄せられたコメントにもまた、顕著な傾向がありました。まず、有効な情報として抽出した67件のコメントのうち、広島県からが10件、愛媛県からが7件と突出しています。この両県では「ギザミ」と呼ばれていて、常食魚である、あるいは高級魚として扱われているという、際立った結果となりました。九州では「クサビ」が強いですが、他の小型ベラとの区別が曖昧であるようで、兵庫県以東にいたっては知っている人は「キュウセン」と呼び、一般には単に「ベラ」と呼ばれているに過ぎません。地方名を問う以前に、キュウセンが各地域においてどんな存在かが分かったような気がします。

地方名の分類と分布

①ギザミ系

ギザミ
岡山県
広島県…基本的には♂を青ギザミ、♀を赤ギザミと区別している。
 福山市の一部:♂をブシ、♀をギザミ
 因島:♂も♀もギザ
香川県の一部
愛媛県今治市

ギザ
愛媛県今治市

ギゾ
愛媛県松山市・今治市:ギゾウとも。♂を青ギゾ、♀をスジギゾとも。

ギザメ
大分県(ただし、他のベラも含み得る)

②クサビ系

クサビ
福岡県(ただし、ササノハベラ類を指す?)
長崎県北部(ハマクサビ・ヒメクサビとも)
熊本県天草
鹿児島県種子・屋久~沖永良部(沖永良部ではウムクサビ

クサブ
長崎県南部・五島

クサバー
沖縄県

③それほど意識していない系

♂青ベラ・♀赤ベラ
神奈川県、三重県南伊勢町・尾鷲市、大阪府大阪市、兵庫県神戸市・明石市、香川県、徳島県

♂青ベラ
愛知県名古屋市、熊本県水俣市

単にキュウセン、あるいは他種ひっくるめてベラ
東京都、神奈川県、富山県、大阪府、和歌山県、高知県、福岡県、熊本県

④女郎系(派手だから?)

ジョロンボウ(福井県敦賀半島)、オジョロウ(愛知県三河地方)

⑤その他

シマメグリ(山形県鶴岡市)、バクトウ(新潟県佐渡島)、♂アオヤナギ・♀ニーズッポ(富山県黒部市)、ジャンコ・ジャミ(石川県能登)、多種多様(丹後地方)、♀フクジ(島根県隠岐の島町)、ヒコ(島根県)、ベロコ(香川県)、グジロ(愛媛県西部)、♂アオモグレ・♀アカモグレ(長崎県雲仙市)

キュウセンをめぐる文化や食味評価

「ギザミ」圏の方々から興味深い情報を得ましたので、以下に提示しておきます。

「50年くらい前だけど 宮島の海水浴場では 金魚すくいみたいにギザミ釣りがありましたよ。」「金魚すくいみたいな容器に ギザミ(ほとんど青)が入ってて 短い竿(穂先)に1m位の糸 そして三ツ又の引っかけ針。 ただし返しは無し。 せっかく引っかけても テキヤの親父が 「そのままそのまま」と空中でギザミを握って 一瞬で外して「ボチャン」 坊や 残念だったねえ」:重光陽一郎氏コメントより。

「かつて愛媛に住んでいましたが、ギゾと呼ばれる常食魚でした。塩焼きが定番で、旅館でも普通に出ていました。」「松山市堀江という海沿いの町にすんでいました。小さな和船で水深3メートルくらいの砂地がポイントで、箱めがねを使いヤスで採っていました。今治市にはギゾ専門の漁師さんがいますよ。」:山田重行氏コメントより。

「備後地方(尾道、福山) ギザミです。価格はタイよりも高値で取引されています。とても美味しい魚です。」「福山近郊において、この魚の評価は高いです。高級とまではゆきませんが、郷土料理としても親しまれています。」:谷本頼保氏コメントより。

「今はコロナ禍で値が下がってますが、20センチ余りで700円くらいします。普通の寿司屋で塩焼きで食べたら1000円前後はすると思います。」:村上公一氏コメントより。

「僕は広島ですギザミです食べますよ大きな青ギザミは500円ぐらいします高級な魚です刺身か塩焼きですね」:三宅大司氏コメントより。

「広島はギザミですね ウロコを付けたままの塩焼き(炭火焼き)美味しいです 煮付け作ると翌日には煮凝り出来ます」「ウロコごと食べれます」:出口 修氏コメントより。

「私の故郷の愛媛県来島海峡辺りはギザミです。青(緑)がオス、赤がメス。渦潮で育ったギザミは美味い、真鯛より高価ですよ。」:Yukiya Soga氏コメントより。

コメントしていただいた方々(Facebookにおける登録名そのまま、順不同)
重光陽一郎さま、村上公一さま、橋本 匠さま、藤本慎央さま、ファクトリー ひろぺさま、山田重行さま、石橋 健太さま、寺井祐二さま、上野 善光さま、和田 俊章さま、市原仁さま、財津 圭佑さま、畑佐 弘司さま、山口 彰さま、古谷 久志さま、末廣 孝一さま、坂下 光洋さま、谷本頼保さま、又吉勲さま、嶋田 春幸さま、相田 誠さま、間所 幸一さま、田中 一嘉さま、浦門英徳さま、西 征一郎さま、大澤風季さま、前田 洋さま、佐藤厚さま、黒飛 政誠さま、仲 卓哉さま、高平康史さま、川上大地さま、深田吉宜さま、三宅大司さま、安田 憲弘さま、日高 秀一さま、永井 一美さま、舩本 誠一郎さま、濵中 省吾さま、峰岸 剣さま、白石 俊之さま、三木 秀幸さま、宮井 幸彦さま、出口 修さま、岡田 健作さま、下原 誠明さま、Takuya Nakaoさま、近藤 英二さま、堀田 大介さま、村上 敬也さま、南達則さま、高月 陽生さま、西坂 俊典さま、中野 豪夫さま、権田 博人さま、八巻 直人さま、諏訪田 和宏さま、磯昭一郎さま、種子田三千仁さま、Yukiya Sogaさま、富山 俊二さま、長田寛さま、Hideki Michiiさま

投稿者 土岐耕司

原文作成日 2021年10月21日

※このページの情報は、Facebookグループ『WEB魚図鑑の部屋』に寄せられたコメントを基にまとめたものです。

WEB魚図鑑 キュウセン
https://zukan.com/fish/internal7283

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